来国俊

来国俊

来国行の子と伝える国俊について、古来より二字国俊と来国俊三字銘のものが同人か否か、未だに確固たる定説には至っていない。両者の制作年記をあわせると弘安元年から元亨元年に及び、この間約四十年、一人の刀工の作刀期間と考えても決して無理な年数ではない。

しかし両者の作風にはある程度のひらきが認められ、作風上に於ては区分することが可能である。二字国俊の体配は細身か尋常で小鋒の姿態に、直刃域は直刃調に小模様の乱れを交えた刃文を焼き、総じて温和な出来口のものが一般的である。また二字国俊には短刀の遺例が稀有であるのに対して、来国俊には多くの短刀の作例がある。

来国俊作風の特徴、太刀形状はすべて細身、鎬造り、庵棟、丸棟もあり、中反りが多く、腰反りもある。鎬は高めである。鍛えは、小板目のよくつんだ梨子地肌、流れ柾がかった肌まじるものがあり、地沸よくつき、沸映り立つ。

鍛がむらで荒れごころの弱いかね、いわゆる来肌の交じるものがある。来一門の足は総じて足先に沸がこごり、丁子足となる。帽子は、直ぐに小丸。彫物は太刀には少ない。

茎は、先栗尻、鑢目浅い勝手下がり、切もあり、目釘孔上棟寄りに三字銘、短刀に比べて銘が小さい。稀に書下し銘がある。短刀形状は、平造り、三ッ棟、庵棟もあり、内反り、尋常な姿となる。鍛え・刃文・帽子は、太刀同様に刃区を深く焼き込むものが多く、見どころである。

彫物は、刀樋、素剣、梵字、護摩箸等、同工に限らず来一門には刀樋、棒樋等に加えて平地に素剣、護摩箸等を添えたものがある。茎は、尋常なものと振袖形のものとの両方があり、先栗尻、鑢目は太刀同様、目釘孔下中央に大振りに三字銘。「源」を冠したもの、年紀のあるものが稀にある。

主な作品としては、国宝 短刀 銘 来国俊・重要文化財 太刀 銘 来国俊 元応元年八月日・重要美術品 短刀 銘 源来国俊 文保二年三月などが有名である。

(押形:国宝 短刀 銘 来国俊(黒川古文化研究所蔵)・名品刀絵図聚成 田野邉道宏著書より転載)
(参考文献:名品刀絵図聚成 田野邉道宏著書・古刀新刀刀工作風事典 深江泰正著書・重要刀剣図譜より転載・引用・抜粋)




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