銃砲刀剣類登録証問題を考える28-1 登録台帳とデジタル
事例40
登録台帳とデジタル
デジタル庁が発足し、デジタル化が急速に進められている。新幹線やイベントのチケットの購入、問い合わせなど、すべからくデジタルで行われ、ペーパーレス社会となり、諸事務一切のスピード化が達成されつつある。一体、どんな未来になるだろうか・・・。
さて、刀剣の登録証関係でもデジタル化が進められている。例えば、従来は、番号を伝えると、その番号の載っている登録台帳を引っ張り出してきて、やおら登録内容の確認をするという感じであった。当方は一度電話を切って、その後、かかってくるのを待つというような具合であった。
が、現在は、パソコンのデータベースに登録台帳の情報が入力されており、番号を伝えると検索、たちどころに照合ができる、そんな教育委員会が増えてきた。簡便である。
これなどもデジタル化の一つであろう。大変便利である。しかし、問題がないわけではない。
過日、広島県登録の平造り脇指の登録内容を確認すべく、電話をかけた。すると、広島県の担当者Aさんから「月日が異なっています」という回答を得た。日付が異なっていても、内容は合っているので、登録証のコピーを添えれば所有者変更届を受理します、という例は少なくない。しかし、広島県に電話したスタッフによれば、どうやらそういう回答はされなかったらしい。
他の仕事に紛れているうちに、少し時間が経った。思い直して再び電話をかけてみた。最悪の場合、内容確認しなくてはならないと覚悟の上である。すると担当者Bさんは二、三度、電話を保留にし、何やら確認した後、明るくさらりとこう言った。
「すべて一致しています」パソコンのデータでは確かに日付は異なっていたが、登録台帳に当たったところ、すべて一致しているというのである。内容の不備はあっけなく解消した。
そもそも最初から登録証に問題はなかった。不備は広島県のデータベースだったのだ。今回のケースでは、内容確認の手続きをし、内容確認に登録審査会へ行って調査し「全部合ってますけど、何か?」ということになったかもしれない。担当者Bさんがたまたま慎重で気が利く人だったおかげで、そうはならなかった。Bさんに感謝する次第である(実は、その数日後、担当者Bさんに、パソコン画像上の情報と登録証の内容のちょっとした違いを、台帳との照合により確認してもらった。とても誠実な対応をする人だと思った)。
登録情報のデータベース化は大いに進めてほしい。しかし、入力内容は正確さを期していただきたい。情報管理はパソコンがするが、入力処理をするのは人間である。そして、日々の内容確認業務の際に、情報を蓄積し、過去の入力データも修正して内容を充実していってほしいものだ。
さらに可能ならば、内容確認のための鑑定の申し込み等もデジタル化されればと思う。デジタル、コンピューター、人工知能・・・これらは人類の未来を拓く道具である。しかし、便利に使うには人の気が不可欠であろう。
(登録証問題研究会)
*刀剣界新聞より転載・抜粋