少子高齢化社会の刀剣業界を考える

少子高齢化社会の刀剣業界を考える

内閣府の統計によると、日本人の平均寿命の伸びや出生率の低下により少子高齢化が急速に進んでいる。 日本人の合計特殊出生率は昭和1975年前後からその低下が始まり、日本の総人口は2005年をピークに減少を続け、2015年には4人に1人が65歳以上となり、かつてない少子高齢化社会へ突入しようとしている。このままの状態で我が国の少子高齢化が進めば、社会を支える役割を中心的に担う働き手の数は当然少なくなる。この数が減れば、総生産が減り、1人当たりの国民所得を維持することも難しくなってくる。

刀剣業界の少子高齢化問題

この問題は、刀剣業界も人事ではないと考えます。刀剣業界全体を見回してみても、少子高齢化の厳しい状況は年々悪化している。愛好家は減少の一途をたどり、市場価格は下がり、業者数も減少、新規の愛好家は増えないといった悪循環に陥っている。今や市場規模は昭和の刀剣ブームの半分以下となり、市場の活気は見る影もないのが現状です。
収集品である美術品にまでお金や心の余裕を回せるほど、やはり今の世代には“ゆとり”が持てないのでしょう。特に今の若い世代は多種多様の娯楽・物が溢れ、その選択肢から外れたものに対しては全くといっていい程興味を示さない。良く言えば”無駄なことはしない倹約家“と言ったところだろう。
この課題は日本経済全体も脅かす大問題「モノが売れない時代」になっている。だからこそ、ただこの現状を嘆いているばかりではなく、長いスパンで物事を考え、マーケティングを行い、マーケットをどう開拓していくかがこの刀剣業界にも問われています。

美術品としての日本刀

まず日本刀は歴とした美術品だということを周知徹底していかないことには、愛好家の増加は望めないと思います。武器というイメージを払拭し、誰でも気軽に鑑賞でき、その美しさを堪能出来るからこそ、その魅力を伝えられるのであって、いまだに一般の方から「日本刀を所持するのには免許が必要?」など聞かれているようでは、他の美術品と肩を並べることすらできないのではないか。
日本刀に対してわれわれ刀剣商が他の美術商にも負けない情熱と誇り、そして自信と責任を持つことが必要ではないでしょうか。そのことにより、日本刀の魅力を伝えられ美術品としての地位を向上へとつながると思います。

刀剣界の希望”刀剣乱舞ブーム”

昨今ブームとなっている刀剣を擬人化したアニメ「刀剣乱舞」を発端に日本刀に魅了された”刀剣女子”と称呼される女性が巷を賑わせている。今までの刀剣業界ではあり得なかった現象である。全国各地で日本刀の展覧会を開催すれば女性があふれ、彼女たちの情報発信力はすさまじく企業・団体等も熱い視線を送り、企画をコラボレーションするなど刀剣業界にも新しいブームをもたらしています。賛否両論はあるが、やはり女性ファンが多いことはマーケットに活気が出て良い方向に向かっていると思います。このように視野を広げ、一歩を踏み出すことによって、新しいマーケットが開拓できるのです。
こういったチャンスを逃さずブームを一時的なもので終わらせないためにも、この先10年・20年・30年と長期的なビジョンで刀剣業界を考え、われわれ刀剣商一人一人が刀剣の魅力を発信し、さらなる発展のためアイデアを出し合い、皆で協力することによって次なる新しい刀剣業界が築かれて行くものだと考えます。

私のひとこと

私の好きな言葉の一つに「温故知新」がある。諸先輩方が創り上げた伝統と格式を大切に受け継ぎながらも、新しい発想やチャレンジはさらなる刀剣業界の発展へ繋がっていくものだと信じています。




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