剣 無銘
時代:平安時代
法量:長さ46.2cm、元幅3.1cm、茎長15.2cm
形状:切刃造
鍛:小板目つみ、柾目交じり、地沸細かにつく。
刃文:直刃、浅いのたれごころ交じり二重刃かかり、小沸よくつき砂流しかかり、僅かに焼落す。
帽子:直ぐに焼き詰め。
彫物:表裏に二筋樋を彫り、樋中に異風の文様を透彫し、さらに文字らしきを陰刻する。
茎:生ぶ先切り、鑢目勝手下り、目釘孔1
彫のある古剣で古い処では、飛鳥時代の唐太刀に四天王寺の寺で、聖徳太子の佩刀で有名な国宝「丙子淑林」の剣と国宝「七星」の剣があるが、他には鎌倉時代まで樋以外の彫物は殆んどない。この古剣は第3回特別重要刀剣指定の古剣で、切刃造りで、身幅やや広く、先張らず、やや大振りの剣である。鍛えは板目と柾交じりよくつんで地沸がつき、刃文は直刃ほつれ、二重刃ごころがあるなど、平安時代を降らぬものと思われる。これに施された彫物は異風で、何をあらわしているか詳でないがここまでの彫物が施された古剣は他になく正しく珍品である。このような切刃造りの剣は他に金剛寺の国宝と伊豆山神社の重文の2口が知られるにすぎない。出来が優れているのみでなく、資料的価値もかなり高い。
(参考文献:特別重要刀剣図譜・重要刀剣図譜)