銃砲刀剣類登録証問題を考える34

銃砲刀剣類登録証問題を考える34 尺貫法の相違
事例48
昭和二十六年某県発行登録証は、刃長記載が二尺一寸四分0厘であるのに対し、台帳の記載が二尺一寸四分五厘であった。その他の他の事項はすべて一致。相違の原因は人的ミスと思われるが、その刃長五厘(1.5mm)の相違について、当県鑑定となる現物確認審査の指示を受けた。
しかし、その指示は年間に数百点の所有者変更手続きと数十点の現物確認審査を受け、現状を熟知する刀剣商として、無意味であると思われ、納得が行かない。
その理由は、当該当登録証は、登録制度が開始され昭和二十六年の三月十五日発行である。この年に発行された登録証の中には「厘」部分を空白にしているケースも散見する。最小目盛が一分(3mm)の剣尺を使った目測で「厘」の正確な記載は不可能であり、徹底されていなかったと思われる。
目測による測定は、見る角度で容易に1〜2mmずれる。現在のメートル法で1厘は0.303mm。現物と登録証記載の刃長「厘」単位のズレは許容範囲と解されている。現物確認審査はセンチメートルで測定、報告される。尺貫法を使わない現在において、厘の相違をセンチメートルで現物確認することは整合性を欠いてしまう。
そのため、前記を訴えるとともに、台帳の記載内容(刃長・反り・目釘穴・銘文・彫刻・刃文)がおおむね確認できるように剣尺を当てた現物と登録証の画像を某県教育庁短刀課に送付し、確認を受けた。すると、担当課より登録審査委員と協議すると言われ、協議した結果、「(画像では)現物と一致しているか確認が取れない」と判断されたので、再度、現物確認審査の指示を受けた。やむ得ず指示に従い、当県の登録審査会で現物確認を受けたところ、「現物は台帳記載事項と一致する」結果が当県より某県に報告がなされ、結局、某県より登録証の訂正を受けた。
現物確認審査を受けた時に、本件の概要を当県の登録審査委員に説明すると、「悪さを働く輩がいるので、万全を期す対応が取られたのでしょう」との意見であった。
現状は、誤字・脱字・目盛の読み違い等で現物が登録証および台帳の何が正しいか確認を行う現物確認審査が必要であることは理解している。
しかしながら、「すべて登録審査会で現物確認をしないと登録証の訂正判断はできない」と安易に現物確認を指示することは、あまりにも専門性を欠く対応ではないだろうか。
担当者部署の裁量で、現物確認を不要とする場合があってよいと考える。特に、内閣総理大臣認可の全国刀剣商業共同組合員の所有者変更届においては、申請者であるわれわれの知見と信頼性を考慮の上、特段の対応があってよいと考える。また、ITが進歩した現在、現物確認審査の柔軟対応、例えば画像送信による容易な確認で済ませることを許容してもよいのではないだろうか。
そうした対応が図られている都道府県が最近あり、柔軟な対応に感謝している。「わずかでも相違がある場合は現物確認審査を伴うので所有者変更をためらう」ことがあってはならない。改善を切に望む。
(登録証問題研究会)
*刀剣界新聞より転載・抜粋




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