銃砲刀剣類登録証問題を考える27 年度変われば担当代わる(東京都・広島県)
事例39
3月から4月・・・・卒業し、進学、就職の季節である。東京都教育委員会も、ここ数年お世話になった銃砲刀剣類登録担当のA氏が「卒業」してしまった。3、4年おられただろうか。いろいろな案件でお世話になった。本当に感謝している。
さて、新年度。毎年、いささか不安になる対応をされる場合が少なくない。東京都も過日、登録証の内容確認をした際、一瞬ヒヤリとさせられるやり取りがあった。
担当者「ほとんど一致していますが、一部、異なりますねー」
私「ほんとですか?どこですか?」
担当者「それはお答えできないのですが・・・」
登録証のコピーをファックスで送信することとなった。しばらくして、電話がかかってきた。
担当者「あの、大変、失礼しました。問題はありませんでした」
私「それは、どういうことでしょうか?」
担当者「実は、表示されたデータを私が読み違えてまして・・・相すみません」
担当者はひたすら謝っていた。が、どうしたらそんな読みになるのだろうか、というような間違いだった。申し送りに問題はなかっただろうかと思った。
広島県も新しい担当者に代わったらしい。宇多国久という短刀の登録の内容確認の電話をした。何の問題もなさそうな登録証だった。が、担当者は登録証の写真をメールに添付して送ってほしいと言う。明らかにはしないが、何か重大な不備があったらしい。やむなく登録証の写真を撮り、メールに添付して送信した。
ところが、メールが開かないいう。再度送り、また開かない、こんなことを繰り返した末、結局、登録証の内容には何ら問題もないことがわかった。
わざわざ写真を撮影し、心配して・・・時間を返してほしいと思った。これも不慣れ故のことだが、やはり申し送りに不備があったのかもしれない。
新年度の混乱を少なくするためには、どうしたらいいのだろう。例えば、担当者が短期間に大幅に入れ替わるのではなく、半分が残って半分が転属し、新任者に前からいるスタッフが指導する仕組みにすれば、年度初めの対応の混乱はかなり少なくなるのではあるまいか(そんなこと、やってますよ!と怒られそうではある。ただ、毎年毎年のことなので、ついつい釈迦に説法のような話になってしまった)。
実際、何らかの対策を講じている自治体もたくさんあると思う。
神奈川県教育委員会の文化遺産課は、聞くところによれば、B氏のみ残って、スタッフが入れ替変わったらしい。事務作業に知悉した熟練の担当者が残っていれば、業務に支障を来たすことは少ないし、B氏がいることで、利用者も安心である。千葉県にはY氏という、刀剣に理解の深い担当者がおられた。転任後も円滑に業務が引き継がれるように、しばらくは刀剣登録業務にも関わります、というような話をしておられたように配慮している。
ただし、地方の実情は厳しいのかもしれない。登録審査に携わっている、ある人によれば「新任の担当者に審査員がどれだけキチンと話ができるか。都会はともあれ、地方に、昭和26年から今日までの刀剣登録業務、登録台帳の内容について、正確に把握できる人がどれだけいるだろうか」と担当者の知識不足を問題にしていた。
担当者の申し送りが正しく行われ、年々歳々の事例の蓄積と情報共有がなされれば、お互い楽であるし、何より文化財の保護に役立つ。厄介な案件に対応するべく、諸データをデジタル化して保存し、ケース・バイ・ケースで引き出して対応できるようにすれば、少ない人数でも対応できるのではあるまいか。
都道府県の教育委員会の担当者も、刀剣類の所有者変更手続き業務のみならず、たくさんの仕事を抱えておられることは十分に理解できる。が、諸々工夫をして、「最近の銃砲刀剣類登録担当者の方々は詳しくなりましたねえ」と思わせるくらいの円滑な事務に期待したい。
(登録証問題研究会)
*刀剣界新聞より転載・抜粋