刀剣鑑定書の種類や鑑定方法について
日本刀を受け継いでいるものの、売りに出したいとき気になるのは査定額ではないでしょうか。日本刀の鑑定は独自のものがあり、特に重視されるのが刀剣鑑定書です。刀剣鑑定書で評価をまとめることで、種類が同定され的確な鑑定も可能になります。
刀剣鑑定書の種類とランク
いわゆる骨董品の種類では真贋の問題を含めて、鑑定額がいくらになるかについて一部の例外を除けば客観的な相場や基準などは存在していないと言ってもさほど間違いではありません。しかし日本刀については刀剣鑑定書のランク付けや内容を参照すると、市場価値や希少価値などを客観的に認識できるとされています。
中でも権威のある公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」が発行している刀剣鑑定書は、信頼性が地高くいくつかの種類に分けてランク付けがされています。日本刀を買取査定してもらうときの基準も、同協会発行の刀剣鑑定書のランク付けにそって進められることが一般的です。査定の鑑定の参考になる刀剣鑑定書の種類に応じたランク付けを確認しておきましょう。
具体的には刀剣鑑定書では等級に応じて4種類にランク付けされており、保存刀剣・特別保存刀剣・重要刀剣・特別重要刀剣と分類されています。買取査定などの鑑定にだすときに重要なのは、一番ランクの低い保存刀剣の要件を充足できるか否か、の点にあります。このランクに至らなければ、査定対象の美術品と評価されないからです。
保存刀剣に該当するには、江戸時代までに製作されたもので銘が刻まれていることと、年代や流派などが特定できることが必要です。協会ではキズや補修跡があっても、美術品として鑑賞に堪えるレベルお保存状態であれば保存刀剣と認定されることがあります。なお刃の焼き直しがあると原則該当しませんが例外的に保存刀剣と認定されることもあるようです。
2. 地刃に多少の疲れ、あるいは傷があっても鑑賞に堪え得るもの。
3. 地刃に補修のある場合は、美観を著しく損なわない程度のもの。
4. 明治時代以降の刀工の作は在銘で出来の良いものに限る。
5. 再刃のものは不合格とする。ただし、南北朝時代を下らない著名刀工の在銘の作で、資料性 が高く、かつ地刃や茎の荒が少ない場合の再刃(焼直し)は、その旨を注記して合格とする場 合がある。
6. 在銘作は、銘字及び作風より真偽を俄かに決しかねるもの、また、無銘作で適切な極めを容 易になし得ないものは「保留」とする場合がある。
刀剣の鑑定方法とは
現在では美術品として珍重されることが多い日本刀ですが、その真贋を含めて価値を評価するのが鑑定作業です。鑑定とは査定対象の日本刀の作成年代と作者を突き止めることです。鑑定によりその日本刀の価値の大枠が明らかになり買取価格などを判断するときの有力な判断材料になります。その日本刀の真贋を含めて評価したものが、公益財団法人日本美術刀剣保存協会が発行している刀剣鑑定書です。
それでは鑑定作業はどのように進められるのでしょうか。
まず一番明確で分かりやすいのは、銘の有無です。銘とは刀工のサインに相当するもので、それぞれの時代に活躍した名工の作刀によるものであることが判断出来れば当然評価もあがります。通常は茎(なかご)と呼ばれる部分に銘(めい)は刻まれています。仮に銘が見つかれば真贋を確かめます。仮に銘が入っていない場合であっても審査基準に照らし合わせて極め(きわめ)といわれる無銘の刀に名前をつける審査がなされます。鑑定書に刀 “無銘 正宗”などと書かれます。
茎(なかご)とは刀を手に持つところ、柄(つか)内部に納まっている部分のことです。しかしこの部分を露出させるのは危険が伴うので、専門家の作業に任せるのが安全です。
そして刀の全体の外観も鑑定する上で貴重な情報を提供します。刀身の長さや反りの有無なども、時代によりトレンドが異なり名工の作によるかいなかについても重要な判断材料になるからです。
おさえておきたい日本刀の格付け
旧家の蔵などでは現在でも日本刀などが発見されることは珍しくありません。手放すことを検討しているなら日本刀専門店に持ち込むのがベストです。不要品買取の一貫として日本刀を扱っているような店舗では、その刀の真価を見極めることが難しく結局買い叩かれるおそれが高いからです。
ところで日本刀の鑑定の出発点は格付けをすることからはじまります。日本刀は当初は武器として利用されていたため切れ味が格付けに置いて重要な要素と認識されていました。格付けについては1815年に山田浅左衛門という日本刀の試し切りで鑑定を行っていた役人が、書物にまとめて公開しています。
日本刀の格付けのなかで最上級にランクするのが、「最上大業物」というものです。名工でも人生の中で1本できれば十分とされるほどのクオリティの高い仕上がりで現在では、最上大業物に該当する名品を目にするのは困難とされるほどです。
ついで「大業物」、これは最上級ランクほどの出来上がりではありませんが、優れた切れ味を発揮します。質は二位とやや落ちるとは家、名工の手になる作品も少なくないのでやはり入手は非常に困難です。
三位に格付けされるのが、「良業物」(よきわざもの、と読む)で切れ味が良好で旗本や重臣など身分が高い武士が保有していたとされています。
そして並みの日本刀と評価されるのが、「業物」で一般的な武士が所有していたもので現在でも比較的入手しやすいランクです。ちなみに鑑定で査定の対象外になるのが、「なまくら」で包丁よりはマシな程度の切れ味を意味します。
日本刀は美術品として根づよい人気があり、高価で取引されることもあります。いくらで査定されるかは、切れ味に応じて分類される格付けや銘・刃身などの形状や特長を踏まえて作成された刀剣鑑定書が大きな意味を持ちます。