日本刀などの刀剣売却に必要な登録証を徹底解説

日本刀を所持・売却するには銃砲刀剣類登録証が必要

日本刀を始めとした刀剣の売却には、銃砲刀剣類登録証と呼ばれる書類が必要です。
これは刀に必ず添付されるべきもので、もしついていない場合は売却どころか所持すらも不可能となります。

逆についている刀であれば、その日本刀の所有権がある限り、誰でも所持あるいは売却することが認められます。

売却の際に買取店に運搬する時は、登録証があることを忘れずに確認しましょう。
ちなみに、この書類自体は刀の所持許可を与えるものではなく、美術品や骨董品に対し、価値ある刀剣だと鑑定された後に交付が行われるものです。鑑定をするのは各都道府県の教育委員会です。

刀剣類登録制度ができたのは第二次世界大戦後

登録制度が誕生したのは第二次世界大戦の後で、1942年の銃砲等所持禁止令施行によりGHQが刀狩りを行ったことが背景にあります。
GHQによって多くの刀が処分されてしまったことから、当時の日本美術刀剣保存協会の会長らが立ち上がり、美術品としての日本刀をGHQに訴え掛けることになります。

日本では古くから美術品の側面があったこと、国宝などに指定している国は世界中でも日本くらいで、美術的価値のある刀は武器にしなかったことを根気良く訴え掛けました。
美術的な日本刀は没収の対象から外して欲しい、そう何度も交渉が行われた結果、GHQ側が折れて認めるに至ります。
このように登録制のルーツは戦後にあって、現在も登録証のついていない刀が年間1万振りほど発見されています。

日本刀の新規登録には発見届が必要です

発見届は新規に発見された刀を登録する場合に必要となります。
発見届の正式名称は発見届出済証で、その刀剣が見つかった地域を管轄する警察署により交付されます。
勿論、届け出ないと交付は受けられませんから、発見次第速やかに手続きすることが重要です。
遺品を整理していたら古い刀が出てきた、解体した建物から見つかったなど、案外こういったケースは珍しくないです。

発見届出済証は、発見した届け出を証明する為の書類で、必要事項が記載されることになります。
刀と共に都道府県の教育委員会の登録審査会場に持参すると、登録証の交付に欠かせない登録審査を受けることができます。
審査なので当然ながら不合格になることもありますし、不合格と判断されれば所持も売却も不可能ですから注意です。

登録審査会について

登録審査会で審査を担当するのは、文化庁から委嘱を受けている美術品の専門家です。
審査の目的は刀が美術品として所持に値するか、その可否を判断することにあります。
登録審査を受けるには6,300円の手数料が必要ですが、刀の登録が可能と判断されるとすぐに登録証が受け取れます。

審査基準にはいくつかの項目がありますが、合格になる可能性が高い条件としては、日本の伝統的な方法により鍛錬された日本刀で焼入れが行われていることが挙げられます。
また、美術的な観点に立って見た場合に刀全体に錆びや疵、疲れが見られないことも評価されます。
つまり外国の刀剣類や火事などで焼けてしまった物、焼刃が確認できなかったり伝統から外れた作られ方をしたものは不合格です。
日本刀に類似するものでも、例えば大戦の最中に作られた粗悪な軍刀、サーベルの類は不合格になる恐れが強いです。

刀剣類登録証について

登録証は昭和26年~50年代の後半までと、それ以降から現在のものに分けられます。
前者は縦A7くらいのサイズで、登録記号番号や種別、長さや反りに目くぎ穴といった項目があります。
表裏それぞれの銘文と、文化財保護委員会の記載に、交付が行われた発行日が書かれています。
文化財保護委員会というのは各都道府県教育委員会の旧称なので、現行の書類は教育委員会の記載に変わりました。
現在のものはB7サイズに改められ、ラミネート加工で表面が保護されているのが特徴です。
ラミネート加工により記入内容や印が保護され、水濡れやカスレから守られるようになりました。
記載の内容は基本的に古いタイプと変わりませんが、長さなどの単位がセンチメートルになっていたり、教育委員会の前に都道府県名が入るなどの変更点はあります。

登録証が見つからない場合には再交付を受けましょう

過去に登録したはずなのに書類が見つからない、そういう時は再交付を受けることが可能です。
再交付の手続きは過去に審査、発行を行った担当の都道府県教育委員会に問い合わせて、審査日時などの指示を受けるのが基本です。

教育委員会により書類が発行されますから、それを持参して刀の再鑑定を受けます。
再交付に必要な手数料は3,500円なので、最初の登録よりは手頃です。
現在暮らしている場所と、発行が行われた都道府県が異なる場合は、発行した都道府県の教育委員会に問い合わせて指示を仰ぎましょう

問い合わせた教育委員会からは現在の都道府県に連絡が行われ、住まいの近くで審査ができるように手配されます。
同じく手数料は掛かりますがこれで再発行が受けられます。
発行都道府県が不明な時は、やはり住まいのある都道府県の教育委員会に問い合わせるのが正解です。
いずれにしても、鑑定を受けて合格しないと手放したくても売却できませんから、一度は必ず審査会に出向くことになります。




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