井上真改
井上真改は初代和泉守国貞(親国貞)の子で、初銘を和泉守国貞と切る。寛文十二年八月に真改と改めている。津田越前守助広と並んで大阪新刀の双璧で、津田越前守助広が匂をよく見せているのに対して井上真改は沸をよく見せ、刃中金筋・砂流しのかかるものがあり、地がねには細かに地景が入り、中にはそれらがきわ立ち、相州伝を呈し、とりわけ江を理想としたように見えるものがあるところから、「大阪正宗」と称された。
井上真改作風の特徴は、形状が、刀のほか、脇指が非常に多く、薙刀は一口、短刀は数口現存する。刀は元幅広く、元幅に比べて先狭まり、中鋒でいわゆる寛文新刀体配。身幅尋常のものと広目のものがあり、鎬造り、庵棟、稀に三ツ棟もあり、反り浅く、中鋒が多く、中鋒延びるものが幅広のものにまま見られる。
中鋒つまるものは初期作に見られる。脇指は鎬造り、庵棟、中鋒延びごころのもの等。平造りは稀有、浅く反る。鍛えは小板目よくつみ、地沸厚くつき、細かに地景の入ったものが多い。刃文は和泉守国貞銘では浅いのたれに互の目交じり、のたれ調に互の目交じり、稀に大互の目、大のたれ等。井上真改銘に比べて、多くはそれほど匂口が深くない。
井上真改銘では、多くは焼幅やや広目で浅くのたれ、匂口深く小沸よくつき、足入り、金筋・砂流しかかる。稀に直刃調互の目連れて交じり、数珠刃風のものがある。助広風の大互の目もあるが、沸崩れる。焼出しがある。帽子は、直ぐに小丸、井上真改では返りが途中で消えてなくなるものがある。
彫物は、少ない。棒樋、二筋樋等。茎は、先刃上がり栗尻、鑢目大筋違、寛文七年八月頃から化粧鑢つく。棟寄りにやや太鏨や大振りの銘を切り、初期作は「和泉守国貞」「井上和泉守国貞」と切り、稀に「和泉守藤原国貞」もある。改名してからは「井上真改」と四字に切り、多くは菊紋を切っている。年紀のあるものが多い。寛文六年二月以降は裏銘のみを草体にきっている。
主な作品:重要文化財 刀 銘 井上真改 (菊紋)延宝二二年八月日・重要文化財 太刀 銘 井上真改 旧国宝 吉備津彦神社所蔵 岡山県立博物館保管
(押型:脇指 銘 井上真改 (菊紋)延宝四年八月日 重要刀剣図譜より転載)
(参考文献:名品刀絵図聚成 田野邉道宏著書・古刀新刀刀工作風事典 深江泰正著書・重要刀剣図譜より転載・引用・抜粋)